よく考えて下さい。
少子化の深刻化が進む昨今の社会状況において、中高一貫校等の私立校の経営環境は年々厳しくなっているのは想像に難くありません。そのために色々対策を立てられたり組織改革だ何だと汗を搔いていらっしゃることも理解しております。と言うか、頭の下がる思いで見ております。
中には進学実績を伸ばすというので努力をされているところも多いと思います。それ自体は正しい目標設定だと思います。公立校ではなく態々私立校に進学するのは、受ける教育サービスに何らかの特殊な価値を見出したからであり、その特殊な価値は分かり易い方が良いー極めて合理的な判断です。
ですが、闇雲に頑張るのは止めましょう。
具体的に言うと、兎に角勉強量を増やさねばならないという趣旨から、授業を一杯組んで(大体1日8コマ程度)、宿題をドッサリ出して、それでも足りなければ予備校等の大手の教育業者から講師を派遣してもらうというパターンを聞くことがしばしばあります。
止めた方が良いです。
理由は色々あります。考えられるだけでも以下の通りです。
①勉強はやらされるものではないということ;生徒を学校に無理矢理缶詰にしたところで逆効果、むしろ生徒の勉強嫌いを助長する恐れすらあると思われます。仮にそうはならず、第一志望の進路に進んだとしても、人間味のない学生が一人出来るだけです。よく「東大で終わる人」と「東大から始まる人」などという比較論が出て来ますが、後者のような人材が生まれるだけです。
②教職員も人の子であるということ;どんなに仕事熱心な教職員の方でも体力に限界があり、また多くの先生方にも家庭がある筈です。況してや、ワークライフバランスの重要性が叫ばれている現在において、教育現場だけ必要以上に多い残業時間を是とするということは不合理な筈です。良い職場環境であれば余計なことをせずとも良い人材は集まるはずです。
③財政基盤が弱体化するだけだということ;これは①及び②からだけでも容易に導き出せる結論です。結局、儲かるのは教育産業の面々だけです。彼らも仕事としてやっている以上、それなりに努力はする筈ですが、果たしてその努力は対価に見合うものでしょうか?そんなに自信があるなら、それこそプロ野球の世界のように一部出来高制にしても良い筈です。あるいは彼らのマニュアルを導入して思うような結果を出せるとお思いでしょうか?(彼らのマニュアルに関してはここをクリックして下さい)
もう少しだけ言及させていただけるならば、確かに予備校にカリキュラム編成のコンサルティングを仰いで進学実績を伸ばしたという事実はいくらかはあります。が、それらの多くの場合は既に超一流とまでは言えなくとも、そこそこ名前の知られた進学校でした。つまり、マニュアルを受け容れられるだけの「基本」がある程度出来上がっていたということです。具体的には、高校3年生全学年のうち上位2割程度のセンター試験(現共通テスト)における得点率が例年において7割5分程度はあったということです。
その前にやらねばならないことは「基本」を確り造ることです。「基本」とは、その分野で成果を出し続けるために必要不可欠な技能をいいます。
そこのところを忘れないで下さい。
理想の学校とは?
少し前にある辣腕のビジネスマンに訊ねられたことがあります、「君達は学校相手のビジネスをやるということだが、どういう学校をプロデュースしたいのだ?」と。
以下のように答えました。
「授業が終わり放課後になったというので、高校生が日直日誌を返しに職員室に入った際に、向こうを見たら古典の先生と日本史の先生が『源氏物語』の一節をめぐって議論をしている、こちらを見ればアインシュタインの相対性理論に関して数学の先生と物理の先生が額に汗を搔いてやりあっている、そういう光景が日常茶飯事に見られる学校をプロデュースしたいです」
理想論かもしれませんが、生徒と呼ばれる子供は格好良い大人が好きだし、尊敬するのは当たり前です。
だから、教職員というのは「生徒や保護者にとって最も身近な文化人」であれば良いと思います。
そのためにも過度な残業を課するような労働環境であるならば改めるべきでしょうし(私共の見解では月に30~40時間の残業があれば十分か十分すぎる程度です)、時間的余裕をそれぞれの教職員の専門研究などに費やすように促すべきだと思われます。
勿論、経営ということになるとこういう綺麗事だけでは済まないでしょうし、あるいは教育指導要領の改正などに伴う設備投資や年々文科省等の官庁から指導を受けたり書類を提出せねばならない事項が多々あるというのも承知しておりますが、そもそも何のために学校があり、そのための自分の経営方針は何かをよく考えて下さい、その理想のためならいつでもお手伝いさせていただく、というのが私共からのメッセージのひとつであるとまずは申し上げます。
最後に、ある元私立高校校長曰わく、「私立校の教師のやり甲斐は、自分の教え子の中から文化的学術的社会的に社会に良い影響をもたらし、そのために名を上げている人材が輩出することであり、それは健全な欲だと思う」という言葉をここでの結びとさせていただきます。
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1 thought on “中堅進学校経営者の皆様へ~理想の教育環境とは”