それ、ちょっと可笑しくないですか
学校内個別指導塾はなぜ利益率が高いのか。この記事では、面倒見の良い学校の裏側にある会計構造を解説します。
世の中便利になったもので、今の時代、ネットでクリック一つで大概の欲しい情報が出て来るだけでなく、AIを使うとご丁寧にその情報の見方まで分かると言うから恐いものです。
さて、「面倒見の良い学校」というのは詰まるところ、 授業イッパイ、宿題ドッサリ、それでも足りなければ予備校や個別指導塾が補習 というものですが、最近のトレンドは 学校内個別指導塾 の活用らしいです。
で、少し気になったのですが、 どれくらい儲かるのか? 調べたところ、営業利益率が 14%前後 らしいです。
普通の個別指導塾が約6%ですから、 利益率は2倍以上。ウハウハです。
なぜそうなるのか。 答えは簡単で、家賃・場所代がタダだからです。
なぜ“異常に儲かる”のか
家賃ゼロ・宣伝費ゼロ・固定費ゼロの魔法
具体例で考えてみましょう。
例えば、北摂のターミナル駅前(駅から徒歩3分程度)、付近に住宅地が広がっているビルがあったとします。そこの家賃は坪単価で約1.5万円程度。抱えている生徒数が150人前後で一人当たりの月謝が約2万円。教室の広さは20坪とすると月額家賃は30万円。月々の光熱費は約0.8万円。コピー機のリース料が月額1万円。その他消耗品(紙代等)が約0.5千円前後。
正社員のスタッフが2人いるとして、それぞれ月給は約23万円。会社側が払う社会保険料は3.9万円。
アルバイトの時給が一人当たり1500円として1ヶ月当たり延べで1000時間稼働させるとしてその人件費は150万円。
そこへチラシを配ったりホームページの維持管理をしたりという宣伝に掛かる費用が年間で約120万円、月額で10万円前後。
となると、この個別指導塾の月内の最終利益は約23.2万円となります。
まぁ、当たらずとも遠からずです。
それが学校内個別指導塾になると家賃分30万円が浮くわけですから、同じ規模でやった場合、最終利益は単純に考えて52.7万円。しかも、宣伝費がゼロになるので、更に+10万円となると、最終利益は62.7万円となります。

なお、この場合、ざっくり営業利益=最終利益と考えて下さい。いずれにしても納税するのは本部ですから。だから、多少利益率が上がるのも当然です。
利益率は20%超え。 昨今のテレビ視聴率でもこんな数字は出ません。
そりゃ経営者は止められないでしょうねぇ……。
でも、払わされている側は堪ったものではありません。
そもそも、なぜ学校は個別指導塾を入れるのか
答えは「労務管理」。教員の働き過ぎを外注でごまかす構造
教員の仕事は多岐にわたります。
進学塾周り
合同説明会への休日返上参加
会計作業
備品管理
広報
雑務
これ以上働かせると、 過労死か組合運動か訴訟 という最悪の未来が見える。
だから経営者は外注に逃げる。
一方、個別指導塾側も少子化で売上が伸びない。 そこで目を付けたのが 学校。
家賃ゼロ、宣伝費ゼロ、固定費ゼロ。
こんな美味しい話はありません。
個別指導塾側の“本当の狙い”
「先生方のお仕事、大変ですよねぇ」から始まる営業トーク
恐らく、こう売り込んだはずです。
切羽詰まった経営者は判子を押す。
チャンチャン。
でも、よく考えると……これ、かなりおかしくないか
教員の仕事を外部が奪い、質の低いアルバイトが指導する現実
学校の先生の仕事は、 生徒に“世界の成り立ち”を教えること。
それを外部の学生アルバイトが代行する。
しかも時給1300〜1500円。
その学生たちは、 自分が合格できなかった大学を目指す生徒を教える。
これで伸びるわけがありません。
偏差値の土俵際の学校が“食い物にされる”理由
A大学志望の生徒を、B大学の学生が教えるという矛盾
偏差値58の大学の学生が、 偏差値63の大学を目指す生徒を教える。
しかも研修もほぼない。
これはもう、 構造的に無理ゲーです。
結論:学校内個別指導塾は、学校の未来を奪う構造である
外部依存は、教育の主権を外部に渡すこと
学校内個別指導塾は、
- 学校の教育力を育てず
- 教員の成長を止め
- 生徒の学力を属人的にし
- 利益だけが外部に流れる
という構造です。
学校が本当に目指すべきは、 “教育OSの内製化”であり、 外部依存ではありません。